美味しいワインが美味しいブドウから生まれるように、優れたAI(人工知能)には優れたデータが必要です。AIネイティブネットワークは、適切なデータを基盤に構築されます。この投稿記事では、Self-Driving Network™への移行の第1段階である「データ」について説明します。インテリジェントなAIドリブンネットワークに欠かせない要素です。
稼働時間からユーザーエクスペリエンスまで
従来のネットワーク管理では多くの場合、稼働時間、CPU使用率、メモリ、帯域幅など、ネットワークデバイスの基本的な指標を監視することに重点が置かれていました。しかし、それではまだ半分しか把握しきれていないと、ジュニパーは考えています。ジュニパーは、単にネットワークを稼働し続けるのではなく、ネットワーク上のすべてのユーザーに、クライアントからクラウドまでエンドツーエンドの優れたエクスペリエンスを提供することに注力しています。ジュニパーが問題にするのは、単に「ネットワークは稼働しているか」という点ではありません。「どれほどのネットワークエクスペリエンスがユーザーに提供されているか」という点です。このユーザー中心の理念が、データの収集と分析に対する当社のアプローチ全体の指針となっています。ジュニパーはまず、ユーザーエクスペリエンスに目を向けます。現在ユーザーに提供されているネットワークエクスペリエンスに関してリアルタイムのインサイトを取得し、データサイエンスを使用してユーザーエクスペリエンスを予測および最適化します。最終的には、ユーザーに力を与え、ビジネスの成果を高めることができるかどうかで、ネットワークの価値は決まります。Self-Driving Networkへの移行における各段階を進めるうえで、この第1段階は欠かせません。
コラボレーションの力
ではジュニパーは、ユーザーエクスペリエンスを最適化するため、適切なデータをどのようにして収集しているのでしょうか? 最初に、ジュニパーのデータサイエンティストがカスタマーサクセスチームと緊密に連携して作業を進めます。このカスタマーサクセスチームは、当社のドメインのエキスパートであり、エンタープライズ顧客の代理人でもあります。カスタマーサクセスチームは、お客様が直面している実際の課題を誰よりも理解しています。したがって、このコラボレーションは不可欠です。お客様の具体的な課題とユースケースを理解することにより、AIモデルのトレーニングと改良を行ううえで最も役に立つデータを特定できます。
真に効果的なソリューションの構築が可能なのは、こうして理解を深めているからです。AIベンダーのデータサイエンスチームとカスタマーサクセスチームが自社のクラウドAIOps(IT運用のための人工知能)ソリューションを使って協力しながら作業を進めていないとしたら、そのベンダーはまだAIの移行に踏み出していないといえるでしょう。こうしたベンダーは、テクノロジーと現実の用途との重要なつながりを見落としています。
リアルタイムのデータをリアルタイムのインサイトへ
お客様のニーズを明確に理解することで、マイクロサービスを実行しているクラウドアーキテクチャにテレメトリーデータを送信するように最適化されたネットワークデバイスから、豊富なデータをリアルタイムで収集することができます。ジュニパーは、10年以上前から、AP(アクセスポイント)、ルーター、スイッチ、ファイアウォール、クライアントデバイスからデータを収集し、生成しています。例えば、APからのストリーミングテレメトリを介して、150を超える無線ユーザーのステータスをリアルタイムで収集しています。こうした定期的なテレメトリのストリーミングは、クラウドに集約され、Mist AI™によって分析されます。ここで、まさに魔法が起こります。この豊富なデータセットを分析することで、Mist AIは実用的なインサイトを即座にIT運用チームに提供できます。また、クローズドループカスタマーサービスフィードバックにより、継続的な学習と改善が行われるため、さらに精度を増したインサイトと推奨事項が提供されるようになります。
データエコシステムの拡大
それだけではありません。強力なパートナーエコシステムと100%オープンなAPIによって、さらに多くのソースからデータを引き出し、機能強化やインサイトの拡張を進めることができます。例えば、Marvis® Application Experience Insightsでは、ZoomとMicrosoft® Teamsのミーティングデータをジュニパーネットワークスのデータと統合して、質の低いビデオエクスペリエンスの根本的原因を特定できます。通話が始まる前に通話品質を予測することさえできます。このような事前対応のアプローチにより、優れたコラボレーションエクスペリエンスがユーザーに確実に提供されるだけでなく、IT運用チームはより戦略的な取り組みに専念できるようになります。
次のステップ:データを実用的なインサイトに変換
適切なデータをクラウドに確保したら、そのデータを実用的なインサイトに変換するという本当の魔法が始まります。次回の投稿では、Self-Driving Networkを推進するインテリジェンスに未加工データを変換し、事前対応での問題解決、リソース配分の最適化、そして最後に優れたユーザーエクスペリエンスの提供を実現するプロセスについて説明します。
お客様の組織は、Self-Driving Networkへの移行プロセスのどの段階にありますか? どの段階にあっても、ジュニパーは、お客様の次のステップをサポートします。
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