サービスプロバイダは、自動化のために自動化に投資するのではありません。ビジネスの成果をあげるために投資します。つまり、サービスを市場に投入するまでの時間短縮、運用の複雑さやコストの軽減、より信頼性や品質に優れたエクスペリエンスを加入者に提供するといったことを達成するために投資をします。トラフィック量が急増し、事業者が5G、エッジクラウド、IoT(モノのインターネット)、FWA(固定無線アクセス)など新たなビジネスや消費者サービスを導入している現在、自動化はSPの最優先の戦略となっています。こうした成長トレンドや新たなタイプのサービスが集まる場所ほど、重要となる場所はありません。それがすなわち、Cloud Metroです。
図1:ネットワーク自動化の推進要因 – Heavy Reading
しかし、市場を調査すると、ネットワーク自動化の導入方法と利用方法を根本から改革する必要性が見えてきます。実際、市場アナリストは、社内で独自に行った社内ネットワーク自動化プロジェクトの70%以上が失敗に終わっていることを示唆しています。また、組織がレガシーベンダーの自動化ソリューションに依存している場合には、本当のビジネス成果を得られません。たとえば、最近行われたHeavy Readingの調査では、汎用的な自動化フレームワークを使うとトランスポートネットワークに自動化を導入する際の障壁になると、40%のサービスプロバイダが答えています。
ジュニパーネットワークスは、もっと良い方法があると信じており、それは3つの中核的な原則に導かれなければなりません。
- スピードが重要:使用する自動化ツールは、何よりも「最初のビジネス成果までの時間」に重点を置いたものでなければならず、その時間も年数ではなく日数でなければなりません。自動化は、社内の運用のペースではなくビジネスのペースで動かせるようにする必要があります。
- 経費ゼロ:自動化のソフトウェアやハードウェアの導入、運用、継続的なアップデートのために、設備投資予算、時間、人材の多大な投入が必要になるようではいけません。 自動化は、実運用ではなく生産性に重きを置いて行う必要があります。
- ボタンを押すだけの簡単操作:ネットワーク自動化はスタッフが簡単に使えるものでなくてはなりません。さまざまなトレーニングやソフトウェア開発のスキルは必要ないという点が大事です。自動化ソフトウェアはサービスプロバイダのために働くのであって、サービスプロバイダがソフトウェアのために働くべきではありません。
産業界はこれらの要件をどうすれば実現できるでしょうか? ジュニパーは、ネットワーク自動化の未来はクラウド型であり、AI(人工知能)対応であると考えています。これは他の分野でも証明されています。今、このモデルをWAN(広域ネットワーク)に適用する時期が来ているのです。
ジュニパーはすでにWAN自動化に関して確固たる実績を残しており、世界有数のサービスプロバイダやエンタープライズの多くが、特にクローズドループ自動化のユースケースで、Paragon™ Automationを利用しています。現在、ジュニパーはその価値提案をさらに進め、パブリッククラウドとAIの強化に努めています。
ジュニパーは本日、サービスとしてのParagon Automation(Paragon Automation as a Service)のリリースを発表しました。このソリューションはネットワーク自動化スイートの単なる改良版ではなく、自動化のエクスペリエンスを捉え直したものです。同時に、Cloud Metroやネットワーク全体において、より持続可能な事業運営への道を開くものです。
サービスとしてのParagon Automationで未来を捉え直す
サービスとしてのParagon Automationにより、ジュニパーは次の点で自動化のエクスペリエンスを捉え直します。
- クラウド型: サインアップしてログインし、デバイスを接続するだけで、数分で準備が整います。ハードウェアやソフトウェアの設置費用を心配する必要はなく、自社でやれば数か月または数年かかる自動化導入がはるかに迅速に行えます。
- AI対応:Paragon Automationクラウドインフラストラクチャは、AI(人工知能)、ML(機械学習)データ、トレーニングパイプライン、WAN固有のAIOpsユースケースを備えています。SPはWANの問題を特定し(それにより従来のツールを使用した人間による分析を回避できます)、根本原因を突き止め、サービスエクスペリエンスに影響する前に問題を修正できます。また、AI/ML搭載の自動化フレームワークは毎日学習を続け、時間の経過とともにこうした問題をより適切に予測できるようになります。
- アシュアランスネイティブ:現在は、Paragon Active Assuranceテストエージェントが、すべてのACX7000プラットフォームのJunos OS Evolvedにネイティブで組み込まれています。これらの組み込みの「エクスペリエンスセンサー」が合成トラフィックを生成し、ネットワークのあらゆる場所でサービス/アプリケーションの品質を測定します。サービスとしてのParagon Automationと組み合わせることで、サービスプロバイダはエクスペリエンスの問題をプロアクティブに検出して修正できます。これは、エクスペリエンスファーストネットワーキングのビジョンを実現しているもう1つの証拠といえるでしょう。
- 信頼性の検証が可能:サービスとしてのParagon Automationは、サービスプロバイダが3つのレベルでネットワークの信頼性を確立するのに役立ちます。ハードウェアレベルでは、ルーターに組み込まれているTPM 2.0チップにリンクされた一意のデバイスIDを検証することで、正規のジュニパー製品を使用していることが保証されます。ソフトウェアレベルでは、ソフトウェアの整合性が継続的にチェックされ、ネットワーク全体の信頼スコアが算出されて、潜在的なリスクに対する実用的なインサイトが提供されます。
- ユースケースに基づく: これこそクラウドの価値です。必要なものだけを使い、使った分だけを支払うことができます。サービスプロバイダが喫緊のビジネス上の問題を解決するために1つのユースケースのみを自動化する必要がある場合、サービスとしてのParagon Automationをそこから使い始めればよいのです。「全部盛り込もう」としたり「大海を沸かす」ような実現不可能なことを達成しようとして、レガシーの自動化システムの導入やトレーニングを行う必要はありません(ほとんどのベンダーやDIYソリューションでありがちなことです)。サービスとしてのParagon Automationを利用すれば、小さく始めて速く進むことができます。計画、オーケストレーション、検出、アシュアランス、ユースケースの最適化というライフサイクルにわたって、独自の「冒険」を選ぶことができます。
- 直感的でシンプル:ジュニパーはユーザーエクスペリエンス設計の技と理論を組み合わせ、サービスとしてのParagon Automationを、まるで使う人の心を読むようにシンプルで使いやすくしました。最新のUIが、情報アーキテクチャ、推奨エンジン、ビジュアルガイドのレイヤーの上に構築され、ユーザーの一連の運用業務に伴走します。
自動化の未来がクラウドにある理由は何か
その方が、ビジネスの点からも技術的な点からも、理にかなっているからです。世界のソフトウェアの大半がクラウド型のSaaS(サービスとしてのソフトウェア)モデルに移行しているのには、それなりの理由があります。トランスポート自動化に関するHeavy Readingの新しい調査で、サービスプロバイダの61%がクラウドベースのネットワーク自動化を望んでいると答えているのはそのためです。
さらに、Analysys Masonが社内開発/レガシーソリューションと比較したSaaSベースの自動化のメリットを定量化しましたが、これによるとSaaSの価値は驚くほど明白です。
- ビジネス上のメリット
- SaaSプラットフォームはシンプルです。そのため、ほとんどのプロジェクトで導入時間を50%短縮でき、このことは市場投入までの時間の短縮と収益の増加に直接つながります。
- SaaS自動化プラットフォームをいったん導入すれば、サービスプロバイダは従来のアプローチよりも70%速く新しいユースケースを追加できます。
- SaaSベースの自動化アプローチでSPが負担するコストは、社内開発と比較すると40%低くなります。これは、独自のソリューションのインストールと保守を行う場合のハードウェアコスト、人件費、運用コストが節減されるためです。
- 技術上のメリット:クラウドを使用すると、イノベーションをスピーディに実現できます。従来のソリューションでは数カ月かかっていたソフトウェアの改良が、毎週リリースされるようになります。AIに関していうと、クラウドを使用することは理にかなっています。匿名化されたデータ、MLモデル、および世界中のネットワークで得られる知識からの集合知を活用できるからです。
図2:サービスとしてのネットワーク自動化のメリット(自社開発の場合との比較) – Analysys Mason
今日の典型的な自動化アプローチと比較すると、それがとあるベンダーの「ビッグバン的」自動化システムであろうと、サービスプロバイダ独自の自社開発システムであろうと、これらの取り組みのほとんどは次の3つの原則によって失敗します。
- 最初の結果が出るまでに時間がかかりすぎる:汎用的な自動化ソリューションをすべてのネットワークドメインに適用するアプローチでは、膨大な時間と労力を投じなければなりません。多くの場合、ネットワークドメインは広すぎて複雑すぎるため、着手、改良、拡張を行うこと、そして最も重要な、ビジネスの成果をもたらすことが困難になります。最終的には、ポジティブな成果を若干見られるかもしれませんが、そこに至るまでの道のりは長く困難です。
- 予算を超えるコスト:インフラストラクチャの構築、導入、管理にかかるコストは急速に増加します。多くの場合、予算をはるかに超えるコストがかかり、ROIを証明することが困難になります。
- 「ボタンを押すだけの簡単操作」ではない:従来のソリューションを効果的に利用するためには、さまざまなトレーニングやスキルが必要です。経験豊富な従業員が少なく、人員の入れ替わりが激しい場合は、このハードルがさらに高くなります。
結論をまとめると、クラウド型でAI対応のネットワーク自動化アプローチなら、はるかに高速で費用対効果が高く、シンプルで成果重視の結果をもたらすことができます。
Cloud Metroの自動化
Cloud Metroモデルを採用し、より多くのキャパシティとサービスインテリジェンスを加入者の近くに分散しているサービスプロバイダは、メトロネットワーク運用に関して古いアプローチに依存することはできません。このようなサービスプロバイダが求めるのは、組み込みのセキュリティ、アシュアランス、AIOpsです。
図3:メトロネットワーク自動化に関してSPが求める要件 – Heavy Reading
ジュニパーのサービスとしてのParagon AutomationをCloud Metroプラットフォームと組み合わせると、完全なパッケージソリューションが完成します。サービスプロバイダは、組み込みのアクティブアシュアランスセンサーやゼロトラストセキュリティなどのオンボックス要素に加えて、サービスとしてのParagon Automationのオフボックス要素も使用できます。このようにして、サービスプロバイダはライフサイクル全体で持続可能なCloud Metro運用を構築できるようになります。
- Day 0:数日ではなく数分で、数千のCloud Metroデバイスを認証してオンボードし、サービスとしてのParagon Automationを使用して新しいサービスをより迅速に開始します。
- Day 1:組み込みのエクスペリエンスセンサーでCloud Metroサービスの品質をネイティブに有効にし、ハードウェアとソフトウェアの整合性を大規模に検証することでネットワークの信頼性を確立します。
- Day 2以降:サービスとしてのParagon Automationに組み込まれているWAN AIOpsにより、ユーザーエクスペリエンスに影響を与える前にCloud Metroの問題の発見、修正、予測を行います。
サービスプロバイダは自動化の受け入れ態勢がすべて整っています。しかし、ほとんどの自動化ソリューションはサービスプロバイダが求める成果を実現する用意ができていません。
自動化の未来の一例である、サービスとしてのParagon Automationの能力、AI対応のサービスとしてのデバイスのオンボードをご覧になり、ジュニパーがオンボーディングプロセスをどのように再構築して、即時的で実質的にエラーのないセキュアなプロセスにしようとしているかをご確認ください。
クラウドファーストでAI対応の自動化こそが未来です。ジュニパーが提供する最初の製品は、2023年初頭にリリースの予定です。これはまだ始まりにすぎません。来年内には、さらなるユースケースとAIドリブンの対話型アシスタントを展開する予定です。
製品の方向性に関する記述
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