ジュニパーのポートフォリオを利用してデータセンターネットワークを構築すれば、コストを削減できます。ジュニパーでは、ジュニパーを採用するか、または他のベンダーにするかを検討されているお客様のために、数多くの財務モデルを作成しています。ジュニパーは確かに、こうしたビジネスケースを常に勝ち取っているというわけではありませんが、おおかたは勝ち取っています。本ブログでは、その理由を説明します。
コスト削減の可能性の概略を理解していただくために、ジュニパーのオンラインデータセンターTCO計算ツールについて少し説明します。これにより、ジュニパーがお客様のために何ができるかについておわかりいただけると思います。より深くご理解いただくには、お客様のデータセンター環境に合わせてカスタマイズされた財務モデルの作成を、ジュニパーの担当アカウントチームにご依頼ください。お客様のデータセンターの運用と経済性を把握するうえで、その詳細な財務モデルを構築する以上に優れた方法はありません。とりわけ、ジュニパーはお客様のために財務モデルを構築し、詳しく説明いたします。財務モデルの構築には、数百社のお客様にサービスを提供してきた当社の長年の経験を活用します。それでは、データセンターネットワークのコストを決める要素それぞれについてご説明します。
CapEx(設備投資)
ジュニパーでは、データセンターを運用している会社のコストを、CapEx(設備投資)とOpEx(事業運営費)という2つのカテゴリーに分けています。CapExは非常にシンプルです。お客様にとってのCapExは、スイッチ購入費と、スイッチおよび全ファブリックを管理するために必要なソフトウェア購入費のイニシャルコストです(永続ライセンスは多くの場合CapExと見なされるのに対し、サブスクリプションライセンスはOpExと見なされます。ジュニパーは両方をご用意しています)。実のところ、様々なベンダーがリリースしている数多くのスイッチングハードウェアにおける機能面の差はそれほどありません。エンジニアリングチームと運用チームは、最終的にベンダーを選定し、購買部門に伝えます。購買部門はできる限りコストを削減するためにそのベンダーと値引き交渉します。
ただし、ハードウェアに関して有意な点がジュニパーにはあります。競合他社とは異なり、当社にはシリコンの多様性という戦略があります。スイッチとルーターのジュニパーの包括的ポートフォリオは、Broadcom社のシリコンをベースにしていますが、自社独自のASICの設計も行っています。ジュニパーのPTXラインは、Juniper Expressシリコンがベースで、世界各地の数多くのデータセンターで採用されています。ジュニパーのMXラインは、Juniper Trioシリコンがベースで、WAN(サービスプロバイダの広域通信網)の主力となっています。ただし、MXは多くのデータセンターで利用されているものの、特にDCI(データセンターの相互接続)ユースケースで利用されています。ジュニパーのスイッチのEXラインは、ジュニパーのカスタムシリコンも使用しており、キャンパスおよびブランチ環境でよく利用されていますが、世界各地の数多くのデータセンターでも採用されています。最後に、ジュニパーのQFXポートフォリオはBroadcom社のシリコンがベースです。
ジュニパーの競合他社の多くは、Broadcom社のシリコンまたは自社のカスタムシリコンを全面的に採用しています。ジュニパーがシリコンの多様性に重きを置くということは、戦略レベル(サプライチェーンの選択肢が多い)および戦術レベル(ASICの多彩なポートフォリオで多様なユースケースに対応可能)の両方において、お客様にとって柔軟性があることを意味します。
データセンターネットワークに関するジュニパーの主な差別化要因は、当社のソフトウェアにあり、オンボックスソフトウェア(Junos® OS)とオフボックスソフトウェア(Juniper® Apstra® – データセンターファブリック管理や自動化ソリューション)で構成されています。特に、ジュニパーのソフトウェアの価値は、お客様の運用コストを削減する点にあります。これについては後ほど説明します。
OpEx(事業運営費)
OpExは本質的に継続的に発生するコストであり、その算出は、設備投資の算出より少し複雑です。これについて説明しましょう。データセンターを運営するコストは、データセンターのインフラ購入のイニシャルコストに比べかなり高額です。データセンターの機器を新規導入するに先立ち、運用を簡素化することを真剣に検討しないと、大変なことになる可能性があります。
まず、関連するOpEx、特にハードウェアに関連する運用コスト(電力、スペース、冷却)について考えてみましょう。スイッチを設置するにはスペースが必要で、電力も消費しますが、それに加えてオーバーヒートしないように冷却するための追加電力も必要となります。サポートやメンテナンスもまたOpExの要素ですが、ジュニパーでは多くの場合これらの要素を分析から除外しています。ベンダーが異なってもサポートコストに大差ないと考えているためです。
スペースの計算は非常にシンプルです。ジュニパーでは、データセンターの不動産コストの平均を使用しています。平方フィート(または平方メートル)あたりのドル単位(またはユーロ単位など)で表します。スイッチのポートおよび帯域幅の密度は、 お客様がどれだけ必要としているかによって異なります。これにより、スイッチに使用するスペースが決まります。「プラットホームの速度」が高い(つまり、最新の汎用シリコンおよびカスタムシリコンに遅れをとらない)ジュニパーのようなベンダーは、ポート密度の点で優れているため、設置スペースが少なくて済みます。ハードウェアプラットホームのイノベーション競争についていけないベンダーでは、設置スペースを多くとらなければならず、コストが増えます。
環境に優しい持続可能性
環境に優しいということは、コスト削減も意味することが少なくありません。スイッチが直接消費する電力の計算は簡単です。ハードウェアのデータシートで消費電力(ワット数)を確認します。ベンダーを比較する際は、同一条件で比較します。製品の説明書を参照します。ベンダーによっては消費電力の表示方法が異なります。スイッチのベンダーが異なっても同じシリコンを使用していれば、消費電力はほぼ同じはずです。大きく異なっているように見える場合は、データシートの妥当性を疑います。ルーターまたはスイッチの消費電力は最終的に、使用されているASICによって決まるからです。
スイッチを稼働させるための総費用を算出するには、スイッチを動作させるために必要な直接的な電力に加え、スイッチを冷却するために必要な電力も考慮する必要があります。PUE(電力使用効率)は、データセンターのエネルギー効率を評価するために使用する重要な指標です。PUEは、施設の総電力消費量と、IT機器が消費する電力消費量の比率(PUE = 施設の総電力消費量 ÷ IT機器の電力消費量)で表されます。
古いデータセンターのPUEは、1.5を上回ることが少なくありません。新しい最先端のデータセンターのPUEは1.3に近づいています。PUE 1は理論上の最大値です。新しいデータセンターが着工されるごとに、ジュニパーはこの値に徐々に近づいています。つまりPUEが1.5の場合、スイッチの冷却(および照明など、データセンターの他の電力 )に電力が50%余分に必要ということになります。新しい大型のAIトレーニングクラスターの登場により、電力が急速に設計上の制限になりつつあります。液冷といった革新的な技術により、PUEの数値は継続的に下がっていくことでしょう。
電力を消費する製品から直接排出されるのが炭素です。ジュニパーの多くのお客様は、炭素排出量を重視するようになっています。多くの国では、炭素排出量取引プログラムを実施しており、コストが増大する要因(カーボンクレジットの購入)となっていますが、データセンターの運用にとっての新たな収益源(カーボンクレジットの販売)にもなり得ます。
ジュニパーネットワークスの炭素排出量計算ツールの例
コスト削減の主な可能性 — ワークフローを自動化
ビジネス変革の実際的な機会は、データセンターネットワークインフラストラクチャーの設計、導入、運用に必要な手間と時間に関係するOpExを根本的に変更することによってもたらされます。まず、基本的な事実について説明します。それは、自動化の議論はすべて、プロセスについての(どちらかと言えば日常的な)議論からスタートする必要があるということです。自動化の対象はプロセスだからです。ワークフローが非効率なまま自動化すれば、非効率が拡大するだけです。ハイパースケール事業者のように考えましょう。つまり、自社のアーキテクチャを簡略化および標準化し、プロセスを簡略化したうえで、自動化を検討するということです。
ジュニパーのお客様の中には、自社のデータセンターの設計、導入、運用に関係するワークフローをすべて詳細に把握していらっしゃる会社もありますが、多くの会社はそうではありません。各プロセスにかかる時間を正確に把握しているお客様となると、かなり少数派です。ジュニパーでは、Day 0(設計および計画)から、Day 1(導入)、Day 2+以降および進行中の運用まで、データセンターのライフサイクル全体をお客様がより良く把握できるようにサポートいたします。単純にジュニパーのサポートを受けて、データセンターのライフサイクルを詳細に把握することは、多くのお客様にとって大きなメリットがあります。
時間と労力を大幅に節約するためのジュニパーの武器(といっても秘密兵器ではありません)といえるのがApstraという、ジュニパーのデータセンターファブリック管理および自動化ソフトウェアです。当社のビジネス解析チームが、数十のプロセスについてJuniper Apstraを導入する前と後でかかった時間を比較します。現在の作業時間(Juniper Apstra導入前)については、各手順にどれだけ時間がかかっているかをお客様に調べていただくか、他のお客様との当社経験に基づいてジュニパーがお見積りいたします。見込まれる作業時間(Juniper Apstra導入後)については、ジュニパーの典型的なカスタマーエクスペリエンスがベースです。
Juniper Apstraを導入した場合の時間と労力の節約例
総所有コストを超えて
お客様のデータセンターネットワークにジュニパーを利用する実際のビジネスケースでは、上記で詳しく説明したコスト削減にとどまりません。目標を運用の効率化と時間削減だけにすると、非常に狭い範囲で考えることになります。変更対象範囲を広げたケースでは、さらに効率化 を進め 、売上を増大するというビジネス目標をサポートできます。
お客様にとっての多大なメリットをジュニパーが具体的に定量化できないことが少なくありませんが、以下に示すとおり、さらに重要なことがもたらされます。
- コスト削減の可能性:ネットワークエンジニアリング業務を改善するには、骨の折れる作業を削減し、より重要でより感心のある業務に使える時間を増やすことからスタートします。このようにして他の作業に使える時間が増えれば、会社に大きな価値をもたらす戦略的な新しいプロジェクトを推進できます。
これは、バリューチェーンから人間を排除しようという競争ではありません。チームのメンバーから、「業務を自動化する方法を見つけました」と報告されたとしたら、このメンバーを解雇するのではなく、昇給させるでしょう。さらに、自動化できる部分を他に見つけるように指示するでしょう。エコノミストのリチャード・ボールドウィンが述べているように、「AIによって仕事が奪われるわけではなく、人間がAIを仕事に利用する」ということです。
- マルチベンダーによる柔軟性:Juniper Apstraはこれからも、マルチベンダーインテントベースネットワーク構築ツールとして唯一の製品であり続けます。これは、多様なレベルにおいて、非常に強力な能力を発揮します。戦略的な柔軟性、サプライチェーンの多様性、交渉力の強化のために、スイッチサプライヤーを2社利用します(ベンダーを競わせてベストプライスを獲得することについては上記参照)。ツール1つで複数のベンダーを管理すれば、トレーニングコストも削減し、複雑さが軽減されます。マルチベンダーによるメリットは非常に大きいのですが、先ほど述べたとおり定量化は簡単ではありません。
- 信頼性とスピードの向上:信頼性の副産物はスピードと効率です。データセンターが常に問題なく稼働することがわかっていれば、迅速に行動できるうえ、組織の間接費が発生することもありません。直観的ではありませんが、スピードを重視することなく、迅速に行動できます。効率を重視することなく、運用を効率化できます。スピードは、プロジェクトの価値を実現するまでの時間を縮めることを意味します。
コスト削減も目標にする
データセンターのサポートベンダーの最終候補にジュニパーが入っていないとしたら、コスト削減と機能強化が目標に入っていないということでしょう。ただし、私たちの言葉を鵜呑みにするのではなく、こちらのForrester Researchのレポートに、Juniper Apstraによってどれだけコストを削減できるかが記載されているのでご覧ください。ジュニパーのオンラインデータセンターTCO計算ツールをお使いいただければ、どれだけのコストを削減できる可能性があるかをご確認いただけます。さらに、お客様のデータセンターの経済性を十分に把握するためにも、お客様のデータセンター環境に合わせてカスタマイズされた財務モデルの作成をジュニパーの担当アカウントチームにご依頼ください。
お客様のビジネスの経済性を把握するうえで、その財務モデルを構築する以上の優れた方法はありません。お客様のためにジュニパーが財務モデルを構築し、詳しく説明します。選択肢のトップが常にジュニパーというわけではないことは承知していますが、お客様のデータセンターとビジネス全体の運用に関わる詳細なプロセスとワークフローを十分に把握することで、議論を早くすすめることができると考えています。