AIは私たちの生活のあらゆる側面に急速に浸透しています。ChatGPTはメールを書く手助けをし、自動運転のタクシーが自宅から空港まで客を乗せ、今やAIが生成した楽曲がグラミー賞を取るほどです。AIが世の中に有益な影響を与えていることは否定できませんが、この誤解されることの多いテクノロジーが大げさに宣伝されたり誇張されたりする可能性が極めて大きいことも、また確かです。
近頃では、どこにいてもちょっと振り返ると、「AI活用」や「AIドリブン」とされている製品やサービスに遭遇します。そして、ネットワーキングの分野でも違いはありません。残念ながら、こうした言い回しが使われすぎているために、真のAIイノベーションとジュニパーが「AIウォッシング」と呼ぶものとを効果的に区別することが難しくなっているのが現実です。
もちろん、AIウォッシングのマーケティング上の価値については理解しています。AIOps(IT運用のための人工知能)が世間に普及する前のことですが、創業間もない頃のMist Systemsで働いていたとき、私の仕事の大部分は、同社のすべてのコンテンツで可能な限り「AI」という魔法の言葉が使われていることを確認することでした。Mist AIが本物のAIだったことは力になりましたし、公平にいって、それは同社の主要な差別化要因の1つでした。しかし、マーケティング戦略の価値を過小評価するべきではありません。
ジュニパーでは、Mist AIは依然として主要な差別化要因の1つです。しかし現在では、「AI」という言葉をバズワードのようにマーケティング用語として使うのではなく、お客様のIT運用チームがAIにまつわる雑音をはねのけ、ジュニパーのAIネイティブネットワーキングプラットフォームの定量化可能な具体的なメリットを体感できるようにサポートすることに、重きを置くようになっています。
以下では、AIウォッシングを行っている競合企業の間の重要な機能的な相違と、真のAIネイティブネットワーキングがもたらすことができるシンプルさ、生産性、パフォーマンスについて分析しています。
AIに関する事実と虚構の区別
すべてのAIが同じというわけではありません。実用的な真のインテリジェンスを提供せずに決まり文句を伝えるだけのソリューションもあります。そういうソリューションは予算の無駄使いであり、ユーザーを失望させるだけです。一方で、優れたネットワーキングエクスペリエンスをユーザーおよび運用担当者に同様に提供するという、新たな世界を実現するソリューションもあります。それにより、障害対応チケットが最大90%(ときにはそれ以上)減少し、OpEx(運用コスト)が85%削減されました。しかし、どのように見分ければよいのでしょうか。誇大広告のAIと実際のAIネイティブを区別するには、以下のような簡単な質問をいくつか、ご自身に問いかけてみることをお勧めします。
- AIに透明性があるか? :ベンダーが提供するAIは説明可能なAIですか? また、AIを時間とともに継続的に改善していく仕組みを、そのベンダーは説明できていますか? 見ることができないものを信頼することはできません。
- 良質なデータが含まれているか? :また、そのデータの収集にどれくらいの時間がかかっていますか? 根本的に、最高のAIアプリケーションであっても、適切なデータが読み込まれていないのであれば、その機能は抜け殻状態にすぎません。
- そのベンダーは自社のAIを使用しているか? :ベンダー自身が自社のAIソリューションを信頼せず、内部で使用していないとしたら、お客様がそれを信頼して使用する理由がありますか? もちろん、そんな理由はありません。ちなみに、当社は当社のAIを内部で使用しています。
- 実証結果はどこにあるか? :真のAIは成果によって評価されるものであり、単にマーケティングで使われる用語ではありません。また、誰かのAIの実験台になるような余裕は誰にもありません。さまざまなテストを経た実証済みのソリューションが、信頼できるソリューションです。そういうソリューションを見つけてください。
透明性による信頼の構築
信頼こそ、あらゆる企業がAIを採用するうえでの基盤であり、完全な透明性から信頼の構築は始まります。ジュニパーの説明可能なAIでは、ジュニパーのAIモデルを支えるロジックを公開しています。ジュニパーは、ジュニパーのAIを包括的、意図的、安全、ミッションドリブンなものにする中核のイノベーション原則に従っています。また、ジュニパーは収集したデータの内容、使用方法、安全確保の方法についてもオープンにしています。
ジュニパーのAIは、クローズドループフィードバックおよび強化学習を通じて、時間とともにその有効性を絶えず改善しています。10年を超えるAI開発とトレーニングにより、特定分野の深い専門知識を構築し、最重要のデータを決定できるようになりました。そしてジュニパーは、マイクロサービスクラウドアーキテクチャを提供するベンダーの1社であり、これによって迅速な処理と卓越したインサイトの提供を実現します。
最も重要な点として、ジュニパーはジュニパーが推奨していることを実践します。ジュニパーは、カスタマーサポートにおいて自社のAIOpsを積極的に活用している唯一のネットワーキングベンダーです。さきほどの文章をもう一度ご確認ください。ジュニパーのカスタマーサクセスチームは、ジュニパーがお客様に提供しているのと同じAIインサイトを日常的に活用しています。ジュニパーのデータサイエンスチームとカスタマーサクセスチームはDay 1より協働しており、共通するネットワーキングの課題を明確にし、人の手を介さずに問題を迅速に検知して解決できるAIツールを共同で開発しました。
AIで快適さを実現
AIに対する信頼が確立されれば、次のステップはAIアプリケーションによって快適さを培うことです。現実においてAIが提供する成果を体験すればするほど、このテクノロジーを採用し、効率性、生産性、価値を拡大するうえでこれに頼りたいと考えるようになります。
ここで明確にしておくと、AIにはAIが提供する成果に相当する価値しかありません。真のAIネイティブネットワーキングソリューションは、定量的に非効率性を低減し、生産性を高め、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。お客様の多くは、Mist AIとMarvisをIT運用チームの仮想化された運用者の一員と見なしています。そうしたお客様は、このテクノロジーを信頼して、ヒューマンエラーに起因する問題を着実に捕捉するようになりました。その結果、より深いインサイトを提供し、IT運用を効率化し、ユーザーエクスペリエンスに影響が及ぶ前にネットワークの問題を特定して解決することができるようになりました。
- フロリダ州パークランド市、Halfords、マサチューセッツ大学アマースト校、ServiceNowは、ネットワーク関連の障害対応チケットが90%(またはそれ以上)削減されたと報告しています。
- CitizenMホテルとフィラデルフィア市は、広範囲のネットワークを効率的に管理して、最少のITスタッフで最適なパフォーマンスを提供できるようになりました。
- ダートマス大学はMarvisを活用して、時間の節約、ダウンタイムの防止、ユーザーエクスペリエンスの向上を実現しています(詳細はこのブログ投稿(英語)を参照)。
懐疑的になるのは、健全なことです。そうした理由から、ジュニパーはお客様にご自身でAIをテストし、検証することをお勧めしています。実際のユースケースを確認し、PoCを開始してください。ジュニパーのOps4AI Labで、AIモデルのパフォーマンスと機能を検証できます。結局のところ、以前にも述べたように、「百聞は一見に如かず」です。ぜひご利用ください。
今後の展望:自動運転がネットワーキングの未来
長期的な見方では、ネットワーキングにおけるAIの導入とは、単に限られた部分だけ自動化してIT部門を補強することではなく、完全に自律したネットワークの管理と最適化を実現することです。そして、ジュニパーはSelf-Driving Network™への移行をリードしています。10年以上培ってきたAIに関するエクスペリエンスと業界で最も先進的なAI機能により、ジュニパーは完全な自己検知、自己修復、自己設定のネットワークの実現に向けて着実に進んできました。これが実現すれば最終的に、IT運用チームはネットワーク管理の負担から解放され、より戦略的なイニシアチブに注力できるようになります。
AIにまつわる雑音をはねのけ、真のAIネイティブとはどのようなものか、ご自身でご確認ください。「AI-Native NOW:Self-Driving Networkへの移行」をぜひご覧ください。完全な自律ネットワークの実現に不可欠な移行の5段階について解説しています。また、業界をリードするお客様に、どのようにして現実的な価値を提供しているのかを確認できます。