遅延の影響を受けやすいネットワークアプリケーションや高帯域アプリケーション(ストリーミング動画など)の普及により、現在のネットワーク運用担当者は増大するWAN(広域ネットワーク)トラフィックへの対応を迫られています。また、広範囲に及ぶデータやユーザーを取り込み、処理する新しいAIモデルの登場により、予期せぬトラフィックパターンが生じています。一方で、遅延の許されない接続も増え続け、減少する兆しは見えません。
エンドユーザーは、ネットワークの存在を意識する必要がないほどの完璧なエクスペリエンスを求めています。そのためには、運用担当者は継続的にリアルタイムでネットワーク最適化を行う必要があります。すなわち、ネットワークをリアルタイムで調整および微調整して完璧なエクスペリエンスを維持しながら、ネットワークの容量を増やすことなく、より多くのトラフィックに対応できるようにしなければなりません。
しかし、「ネットワークの最適化」とは実際のところ何なのでしょうか? そして、どのようにしてビジネスに真の価値をもたらすのでしょうか? まずは、リアルタイムで最適化を行うための2つのパラメータを例に挙げて説明します。すなわち、帯域幅と遅延です。
帯域幅の利用が増大すると、大規模な投資によってネットワークを拡大しなければなりません。運用担当者の多くは、今後数年間におけるピーク利用量の推定値に基づいてネットワーク容量を計画します。この計画を誤ると、ネットワークが混雑して不安定になります。その結果、ストリーミングサービスを利用できなくなったり、電話会議に参加できなかったりして業務の遂行に支障をきたし、エンドユーザーからの不満が募ります。運用担当チームは厳格なレトロスペクティブ(事後)分析を実行することで、問題の原因を正確に把握し、ネットワーク設計をどのように修正すれば今後の問題の発生を回避できるかを突き止めようとします。しかし、このような事後的な対応は時間がかかり、フラストレーションがたまるだけでなく、多くの場合、問題の再発防止にはつながりません。
遅延は、リアルタイムアプリケーションにとってきわめて重要なパラメータです。リアルタイムアプリケーションは遅延の影響を受けやすく、遅延が大きかったり不安定だったりすると使いものにならなくなります。このような遅延の影響を受けやすいアプリケーションの接続をネットワーク全体で最適化して、最大遅延制約を満たすパスが常に利用されるようにすることで必要なサービスレベルを確保できます。一方で、遅延の影響を受けにくいアプリケーションに対しては、ネットワーク内のその他の利用可能なパスの利用可能な容量を活用します。
ネットワーク運用担当者の仕事はネットワークの最適化だけではありません。特定の顧客のトラフィックが、セキュリティ上のリスクとなりうる特定の地域を通過しないように制約を維持しなければならない場合もあります。
ここに挙げた例は、事後対応ではなく事前対応のネットワーク最適化が必要である理由を示す最も一般的な要因の一例にすぎません。
ジュニパーは、TE(トラフィック制御)テクノロジーの業界でのパイオニアです。このテクノロジーにより、WANトラフィックを詳細に制御して、CapEx(設備投資)とOpEx(事業運営費)を最適化しながらパフォーマンスの期待値を厳格に満たすことができます。個々のルーターの設定を通じてトラフィックを制御することも可能ですが、この方法は大規模ネットワークでは通用しません。こうした規模の問題に対応するには、一元化されたコントローラベースのアプローチが必要です。このアプローチにより、ネットワークの360度ビューを追加で確立して、トポロジー全体を可視化できます。さらに、混雑しているリンク、容量に余裕があるリンク、TEポリシーの帯域幅利用状況、ネットワーク内のすべてのパスなど、ネットワークの状況もリアルタイムで把握できます。このように完全な可視化を実現したコントローラにより、利用可能なすべてのネットワークリソースの使用を最適化し、トラフィックパターンの季節的な変化や予期せぬ変化に対応できます。その結果、カスタマーエクスペリエンスを最適化できるだけでなく、数百万ドルものCapExとOpExが発生するネットワークアップグレードを先送りにできます。ジュニパーは、7年以上にわたって、このようなコントローラをいくつかの世界最大のネットワーク向けに開発および導入してきました。
そして現在は、インテントベースのアプローチによるネットワーク最適化に取り組んでいます。これは、コントローラベースのTEソリューションにシンプル化というメリットを加えて、さらに発展させたものです。先進のTEを活用した接続の設計、導入、管理がより容易になり、最終的に、そこからもたらされるビジネス上のメリットをより多くのお客様が獲得できるようになります。
その仕組みについて見ていきましょう。
Paragon Automationには再利用可能なプロファイルがあります。このプロファイルを使用して、ネットワーク設計者は自社のネットワークの接続性と最適化の動作について、TEテクノロジーを定義します。エンドポイントグループを利用して、運用担当者は接続トポロジーと関与するエンドポイントノードを定義できます。これも再利用可能であり、各種プロファイルと組み合わせて使用することで、さまざまなトランスポートスライスを効果的に作成できます。
ネットワークのパスインテントと帯域幅の利用状況のビュー
SLA(サービスレベル契約)を満たした各種の接続サービスを秒単位で導入して、顧客の細かいニーズに対応できます。サービス導入後は、Paragon Automationが継続的にネットワークを最適化して状況の変化に適応し、求められるビジネスSLAを満たした状態にネットワークを維持します。このようなクローズドループ型の自動化は、ネットワーク運用担当者がSelf-Driving Network™への移行を実現するための、基本的なテクノロジーです。
変化するビジネスニーズに対応するために要件が変更されても、運用担当者は容易にインテントを修正でき、多数の設定作業をワンクリックで設定できます。例えば、パスインテントを導入して100台のルーターを低遅延で接続するフルメッシュを作成したとします。このメッシュに101台目のルーターを追加するには、そのルーターをエンドポイントグループに追加し、変更をパブリッシュするだけで、必要となる200ものTEポリシー(各既存ルーターから新規ルーターへのポリシー1つずつと新規ルーターから既存ルーターへの100のポリシー)が自動的にネットワークに追加されます。これにより、ネットワーク接続のライフサイクル管理の運用オーバーヘッドが大幅に簡素化されるため、運用チームはビジネス上のカギとなる優先事項に集中できます。
ライブトポロジー可視化インターフェイスが、AI(人工知能)およびML(機械学習)を活用してネットワーク内の障害やルーティングの問題を検知するため、発生したあらゆる問題を迅速にトラブルシューティングでき、結果としてユーザーへの影響を最小限に抑え、運用サイクルの負担を抑制できます。
Juniper Paragon Automationのインテントベースネットワーク最適化の詳細については、下記をご確認ください。
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