利用者や訪問者のエクスペリエンス向上から競争優位性の獲得や効果的な環境保護の取り組みまで、ファシリティ(施設や設備)の利用と占有率に関するインサイトは、小売店、オフィス、病院、教育機関にとって非常に貴重な情報になります。しかしながら、ファシリティ、不動産、事業の管理者にとって、建物の正確な利用状況を効率的に、他に影響を与えることなく長期にわたって追跡し、実用的なインサイトを得ることは、実際に行うとなると大変な作業になります。
このブログでは、従来のファシリティ管理分析に見られるギャップについて探るとともに、Juniper Mist™の占有分析の独自の機能がどのようにして他に類を見ないインサイトを引き出し、これが建物と敷地の快適性、適切な整備、安全性、効率的な使用を実現するうえでどのように役立つのかをご紹介します。
これまで欠けていたもの
従来のファシリティ管理分析にはいくつかの欠点があり、そのためスペースの利用状況とリソース配分に関するインサイトには限られた価値しかありませんでした。
- きめ細かさの不足:ほとんどの分析で提供されるのは概要データのみであり、ファシリティ内の特定のエリアについて情報に基づいた決定を下せるほどの十分な詳細を得られない
- 静的またはサイロ化されたデータへの依存:静的またはサイロ化されたデータソースが分析に利用されることが多く、スペース利用状況の変化をリアルタイムかつダイナミックに把握することができない
- 長期トレンドの追跡における柔軟性の欠如:ソリューションは通常、短期的な枠組でしかトレンドを捉えないため、経営者にとっては、パターンを正確に特定して事前対応で長期にわたった計画を立てることが困難
- 業界を横断しての適応性の限界:多くの分析システムでは、過度に一般化されたインサイトが提供されるため、ヘルスケア、教育、小売業といった業界独自のニーズに対応できない
Juniper Mistの占有分析で掘り下げる
JuniperのPremium Analyticsサブスクリプションの占有分析およびエンゲージメント分析で提供されるのは、単なる概要データではありません。BLE(Bluetooth® LE)が統合されたジュニパーの強力なWi-Fiアクセスポイントから得られたデータをもとに、ファシリティ内でのユーザーの行動に関する詳細なインサイトが提供されます。
先進技術を活用することで、ジュニパーは従来のソリューションのレベルを超える詳細な分析を提供し、お客様がスペースの利用状況を正確に把握して情報に基づいた意思決定ができるようサポートします。お客様が管理する大規模な企業オフィス、小売店舗、病院、大学キャンパスなど、ジュニパーのデータドリブンの分析により、スペース利用について情報に基づいた決定を下すのに必要な情報と統計が提供されます。これらの情報は次の概念に基づきます。
- 人流
- 滞在時間
- ゾーン占有率
例えば、小売店の経営者は、買物客の人流の変化を1年を通して追跡し、それに応じて従業員の配置や在庫水準を調整できます。病院であれば、患者の流入出パターンを日ごとに把握し、待ち時間を最適化して患者のエクスペリエンスを向上させることができます。教育機関の場合は、学生が建物、図書館、教室を利用するパターンについてインサイトを得ることで、年間を通して、ピーク期間中のキャンパスと建物の管理を改善できます。
図1. 全訪問者およびロイアリティ訪問者の観測値(日/週/月ごと)
長期にわたる高人流ゾーンおよび滞在時間を把握する
利用者がファシリティ内のどこに最も長く滞在しているかを知ることは、建物のフロアプランとリソース配分について情報に基づいた決定を下すうえで不可欠です。ジュニパーのダッシュボードで、人流が多いゾーンを特定し、滞在時間、または利用者が特定のエリアにいた時間に関するデータを、最長13か月の期間にわたって確認できます。この機能が特に役立つケースとして、小売環境での商品配置の最適化、オフィス環境での照明、HVAC、アラームのプログラミング、病院やオフィスにおける混雑管理と利用者の流れの改善が挙げられます。
図2. ファシリティ内のさまざまなエリアの訪問者/デバイスの滞在時間
Mistの占有分析で得られるインサイトを利用して、組織の意思決定者はレイアウトを調整するか、ユーザーエクスペリエンスの向上を目的とする戦略を実行できます。例えば、サービスやスタッフの配置を最も必要とされるところに変更します。また、小売環境では、買物客が店内の特定のセクションに滞在する時間が長い、特定の場所から別の場所へ何度も移動している、などということがわかるかもしれません。そうであれば、そのスペースをより適切に活用できるようにデザインを見直すことができます。
図3. ファシリティの特定のエリアから別のエリアへ客がどのように移動しているかを表示(数日、数週、数か月単位)
時系列トレンド:パターンを見つけて業務を最適化する
さまざまなダッシュボードで時系列の幅(時間/日/月)を変更できるため、行動の変化を時間経過に沿ってモニタリングできます。これらのトレンドからファシリティの利用状況の変化を明らかにすることができ、管理者はニーズを予測して問題になる前に対処できます。オペレーションとファシリティのチームは、暖房、照明、人員レベルを予測される占有率に応じて調節するなど、需要の変化に事前に対応できます。不動産管理チームも、長期にわたるスペースの利用状況を把握して、将来的にポートフォリオに関してより適切な決定を下すことができます。
図4. ダッシュボードのフィルターの例:レポート期間、デバイスタイプ、SSID
さまざまな業界にわたって高度に活用
小売業
- 人流分析:買物客の動きとピークタイムを把握して人員とレイアウトを最適化します
- 高人流ゾーン:高密度のエリアを特定して最適化することで売上と安全性が高まります
- カスタマーエンゲージメント:対象のマーケティング戦略に沿って滞在時間と再訪率を分析します
医療施設
- 患者の流入出の最適化:占有率データを使用して患者の流れを効率化し、待ち時間の短縮と全体的な患者エクスペリエンスの向上につなげます
- 患者調査:ピークタイム中の患者のニーズを把握して人員配置をその情報に基づいて決定します
- 運用効率:過去の占有率に関するインサイトに基づいてリソース配分を計画します
教育機関
- リソース配分:教室、図書館、共有エリアの使用を、利用時間のピークタイム分析に基づいて最適化します
- 教室のテクノロジー:必要に応じて、適切なテクノロジーを教室で確実に利用できるようにします(プロジェクター、プリンター、実験器具など)
- キャンパスのエクスペリエンス:学生や職員のキャンパス環境との交流具合を把握して、彼らのエクスペリエンスを向上させます
企業などのオフィスワークスペース
- ハイブリッドワーク:ハイブリッドや出社時の座席管理のため、従業員のデスク利用状況を最適化します
- オフィス出社義務:オフィス占有率と社員出社率を長期にわたって把握します
- エネルギー管理:エネルギーの使用パターンを特定し、持続可能性の目標を設定し、スマート照明とHVAC(空調制御システム)を制御および最適化して不要なコストの発生を回避します
ファシリティと不動産の管理を新たなレベルへ引き上げる
位置情報テクノロジーは、ファシリティと不動産管理の可能性を大きく変えつつあります。ジュニパーのPremium Analyticsサブスクリプションの一部として占有分析とエンゲージメント分析が提供するインサイトにより、実際のファシリティ利用パターンに基づいたスペースの使用方法と最適化方法に関して、情報に基づいたスマートな意思決定を下すことができます。目的が業務の効率化やユーザーエクスペリエンスの改善、またはリソース配分の強化など、お客様およびお客様のビジネスの成功に必要なデータを、ジュニパーのダッシュボードから得ることができます。
Juniper Mist Premium Analyticsの詳細はこちら
Juniper Mist Premium Analyticsのデータシートはこちら(英語)